
微生物資材を探していると、「土壌微生物を増やす」「有機物の分解を助ける」「根張りを支える」「土づくりに役立つ」など、さまざまな説明を目にします。
ただ、実際に選ぼうとすると、どの商品が自分の畑や栽培目的に合うのか迷いやすいものです。
微生物資材は、単に「菌を入れる資材」と考えるよりも、土の中で何を進めたいのかに合わせて選ぶことが大切です。
この記事では、土づくりに使われる微生物資材の中から、目的の違いがわかりやすい5商品を紹介します。
今回取り上げるのは、以下の5つです。
- ワームキャスティング
- 菌力アップ
- カルスNC-R
- バイオ21
- コフナ1号
この記事では、ランキング形式ではなく、目的別に選ぶための比較として紹介します。自分の畑で何を改善したいのかを考えながら、候補を見ていきましょう。
微生物資材は「何をよくしたいか」から選ぶ

微生物資材を選ぶときは、最初に「土の中で何をよくしたいのか」を考えると整理しやすくなります。
たとえば、同じ微生物資材でも、土壌微生物を補いたいのか、有機物を分解したいのか、堆肥づくりに使いたいのかによって、向いている商品は変わります。
まずは、目的と資材の関係を整理してみましょう。
| 商品名 | 主な目的 | 向いている場面 | 使い方のイメージ |
| ワームキャスティング | 多様な土壌微生物を活かしたい | 根まわりの環境づくりや土壌微生物の働きを意識したいとき | 希釈して散布・潅水する液体タイプ |
| 菌力アップ | 土壌環境を見直したい | 団粒構造、通気性、排水性、発根を意識した土づくりをしたいとき | 希釈して散布・潅水するタイプ |
| カルスNC-R | 作物残さを分解したい | 収穫後の残さ、稲わら、もみ殻、古い土を次の土づくりに活かしたいとき | 有機物と一緒にすき込むタイプ |
| バイオ21 | 完熟堆肥を作りたい | 落ち葉、雑草、家畜ふん、作物残さなどを堆肥化したいとき | 堆肥づくりの工程で使うタイプ |
| コフナ1号 | 高温環境を活かしたい | 太陽熱消毒後の土づくりや、継続的な土壌改良を考えたいとき | 土づくりの工程に組み込むタイプ |
微生物資材は、肥料のように成分量だけで単純に比較しにくい資材です。
「どれが一番よいか」ではなく、「今の畑で何を進めたいか」に合わせて選ぶ方が、失敗しにくくなります。
微生物資材おすすめ5選を紹介します

ここからは、目的別に選びやすい微生物資材を5つ紹介します。
それぞれの資材は、土壌微生物を活かすもの、土壌環境を見直すもの、作物残さを分解するもの、堆肥づくりに使うものなど、役割が異なります。
同じ「微生物資材」という名前でまとめられていても、使う場面や期待する働きは同じではありません。自分の畑や作業工程に合うものを選びましょう。
1. ワームキャスティング|多様な土壌微生物を活かしたいときに
ワームキャスティングは、ミミズの糞や分泌液から抽出したエキスを使った微生物資材です。
アグリスイッチでは、1000種類以上の微生物を供給し、有機物分解の促進や土壌の団粒化をサポートする資材として紹介されています。
液体のフロアブルタイプで、希釈して散布・潅水しやすい点も特徴です。ドローン散布にも対応できる資材として紹介されているため、圃場の規模や作業方法に合わせて使い方を検討しやすい資材です。
ワームキャスティングが向いているのは、次のような場面です。
- 土壌微生物の多様性を意識したい
- 根まわりの環境を整えたい
- 有機物の分解を進めたい
- 土の団粒化を意識したい
- 液体タイプの微生物資材を使いたい
特に、土の中の微生物環境や根張りを重視したい場合に候補になります。
一方で、微生物資材は土壌条件によって働き方が変わります。水分、温度、有機物量、pH、排水性などが極端に合っていない場合、期待した働きが出にくいこともあります。
使用前には、対象作物、使用時期、使用量、希釈倍率、散布方法を確認し、自分の圃場条件に合うかを見てから取り入れましょう。
2. 菌力アップ|土壌環境を見直したいときに
菌力アップは、サンビオティックが販売している微生物土壌改良資材です。
公式情報では、250種類の好気性土壌微生物を配合した土壌改良資材として紹介されています。有機物の分解、団粒構造化、発根促進などを意識した土づくりに使いやすい資材です。
好気性微生物は、酸素のある環境で働きやすい微生物です。そのため、菌力アップを使う場合は、資材を入れることだけでなく、土の通気性や排水性、有機物の状態もあわせて考えることが大切です。
菌力アップが向いているのは、次のような場面です。
- 畑や施設栽培の土壌環境を見直したい
- 土の団粒構造を意識したい
- 通気性や排水性を考えながら土づくりをしたい
- 根まわりの環境を整えたい
- 有機物をうまく分解させたい
菌力アップの特徴は、好気性微生物を活かした土壌環境づくりにあります。
ただし、連作障害や病害は、土壌環境、病原菌、作物、栽培履歴、管理方法などが複雑に関係します。
菌力アップを使えば連作障害が必ず解決すると考えるのではなく、土壌環境を整えるための選択肢のひとつとして取り入れるとよいでしょう。
3. カルスNC-R|作物残さを分解し、次の土づくりにつなげたいときに
カルスNC-Rは、作物残さや稲わらなどの有機物を分解し、次の土づくりにつなげたいときに候補になる微生物資材です。
収穫後の茎葉、稲わら、もみ殻、古い培養土などは、そのままでは扱いに迷うことがあります。畑の外へ持ち出すのか、すき込むのか、堆肥化するのかによって、次の作付けへの影響も変わります。
カルスNC-Rは、こうした有機物を分解し、次の土づくりに活かしたい場合に使いやすい資材です。
カルスNC-Rが向いているのは、次のような場面です。
- 作物残さを早く分解したい
- 稲わらやもみ殻を土づくりに活かしたい
- 古い土を再生したい
- 有機物を分解して次の作付けに備えたい
- 残さ処理と土づくりを同時に考えたい
カルスNC-Rは、単に微生物を入れる資材というより、「片づける残さ」を次の土づくりにつなげるための資材として考えるとわかりやすいでしょう。
家庭菜園やプランター栽培でも、古い土や残さの扱いに悩む場面があります。農業者だけでなく、家庭菜園ユーザーにも説明しやすい資材です。
一方で、病害や連作障害に関する表現には注意が必要です。
病害や連作障害は、有機物の分解だけで決まるものではありません。土壌中の病原菌、作物の種類、栽培履歴、水分管理、土壌pH、肥料設計など、複数の要因が関係します。
そのため、カルスNC-Rは「病害を防ぐ資材」「連作障害を治す資材」としてではなく、作物残さや古い土を次の土づくりに活かす資材として考えるとよいでしょう。
4. バイオ21|完熟堆肥を作りたいときに
バイオ21は、堆肥づくり向けの微生物資材です。
微生物資材というと、畑に直接散布したり、土に混ぜ込んだりするものをイメージしがちです。しかし、バイオ21のように、堆肥づくりの工程で使う資材もあります。
落ち葉、雑草、作物残さ、家畜ふんなどの有機物を発酵・分解させ、完熟堆肥づくりを目指したいときに候補になります。
バイオ21が向いているのは、次のような場面です。
- 完熟堆肥を作りたい
- 落ち葉や雑草を堆肥化したい
- 有機物の発酵・分解を進めたい
- 未熟な有機物をそのまま畑に入れたくない
- 堆肥づくりの工程を整えたい
未熟な有機物をそのまま畑に入れると、発酵熱、ガス、窒素飢餓などの問題が起こる場合があります。
そのため、堆肥づくりでは、有機物を十分に発酵・分解させることが大切です。
バイオ21は、有機物の発酵・分解を進め、堆肥として使いやすい状態に近づけたい場合に向いています。
ただし、堆肥づくりは微生物資材を入れれば自動的に進むものではありません。温度、水分、酸素、切り返し、有機物の種類などの管理も重要です。
バイオ21を使う場合も、こうした管理とあわせて考えることで、資材の役割を活かしやすくなります。
サカタのタネ公式特設ページはこちら→https://www.sakataseed.co.jp/special/bioace-family
5. コフナ1号|高温環境を活かした土づくりを考えたいときに
コフナ1号は、高温環境を活かした土づくりや、長期的な土壌改良を考えたい場合に候補となる資材です。
太陽熱消毒後の土づくりや、継続的な土壌改良を考えたい場面で検討しやすい資材です。
コフナ1号が向いているのは、次のような場面です。
- 高温環境を活かした土づくりを考えたい
- 太陽熱消毒後の土づくりをしたい
- 長期的な土壌改良を考えたい
- 腐植づくりや地力づくりを意識したい
- 農業現場で継続的に土を整えたい
コフナ1号は、短期的に「すぐ効く資材」として見るよりも、長期的な土壌改良や腐植づくりを考える資材として位置づけると自然です。
土づくりを一時的な対策ではなく、継続的な管理として行う場合に向いています。
家庭菜園でも使える場面はありますが、どちらかといえば、農業者が本格的な土づくりを考える場合に向いた資材です。
使用前には、対象作物、使用量、使用時期、土壌条件を確認してから使いましょう。
目的別に見る微生物資材の選び方
ここまで紹介したように、微生物資材は商品ごとに役割が異なります。
「微生物資材を使いたい」と考えるだけでは、選択肢が広すぎて迷いやすくなります。次のように、目的から逆算して選ぶと整理しやすくなります。
根まわりの環境を整えたいなら「ワームキャスティング」
根張りや土壌微生物の多様性を意識したい場合は、ワームキャスティングが候補になります。
液体タイプで扱いやすく、散布・潅水しながら土壌微生物の働きを活かしたいときに検討しやすい資材です。
土の通気性や団粒構造を見直したいなら「菌力アップ」
土の団粒構造、通気性、排水性、発根を意識したい場合は、菌力アップが候補になります。
好気性微生物を活かす資材のため、土の中に酸素が入りやすい状態を作ることもあわせて考えましょう。
作物残さを次の土づくりに活かしたいなら「カルスNC-R」
収穫後の茎葉、稲わら、もみ殻、古い土などを分解し、次の作付けに向けて土づくりを進めたい場合は、カルスNC-Rが候補になります。
残さ処理を単なる片づけで終わらせず、土づくりの一部として考えたい人に向いています。
堆肥づくりを進めたいなら「バイオ21」
落ち葉、雑草、家畜ふん、作物残さなどを発酵・分解させ、完熟堆肥づくりを目指したい場合は、バイオ21が候補になります。
畑に直接入れる資材というより、堆肥づくりの工程を整える資材として考えるとわかりやすいでしょう。
長期的な土壌改良を考えるなら「コフナ1号」
太陽熱消毒後の土づくりや、腐植づくり、長期的な地力向上を考える場合は、コフナ1号が候補になります。
短期的な変化だけを見るのではなく、継続的な土づくりの一部として取り入れる資材です。
微生物資材を使う前に確認したいこと
微生物資材は土づくりの心強い選択肢になりますが、使えば必ず土がよくなるというものではありません。
資材の特徴だけでなく、土壌条件や使い方もあわせて確認しておきましょう。
土壌条件によって働き方は変わる
微生物資材は、土壌条件によって働き方が変わります。
水分、温度、酸素、有機物量、pH、排水性などが整っていないと、期待した働きが出にくい場合があります。
たとえば、好気性微生物を活かす資材であれば、土の通気性や排水性も重要です。有機物の分解を進めたい場合は、分解される材料の状態や水分量も関係します。
微生物資材だけに頼るのではなく、土壌診断や日々の栽培管理とあわせて考えましょう。
使用量・時期・使い方は商品ごとに確認する
微生物資材は、商品によって使い方が大きく異なります。
潅水で使うもの、土に混ぜるもの、残さと一緒にすき込むもの、堆肥づくりに使うものなどがあります。
同じ「微生物資材」でも、使うタイミングや目的は違います。
使用前には、商品ラベルや公式情報を確認し、対象作物、使用量、使用時期、希釈倍率、混用可否、保管方法などを確認しましょう。
病害や連作障害は、土づくり全体で考える
微生物資材の商品説明には、病害や連作障害に関する表現が出てくることがあります。
ただし、病害や連作障害は、土壌環境、病原菌、作物、栽培履歴、管理方法などが複雑に関係します。
微生物資材は、病害や連作障害を直接解決するものとしてではなく、土づくりや根まわりの環境づくりを支える選択肢として考えるとよいでしょう。
短期的な変化だけで判断しない
微生物資材は、使えばすぐに土が変わる魔法の資材ではありません。
土づくりは、土壌条件、有機物の管理、水分管理、施肥設計、作付け履歴などが積み重なって変化していくものです。
微生物資材を使うときも、短期的な変化だけで判断せず、継続的な土づくりの一部として取り入れることが大切です。
微生物資材とバイオスティミュラントの違い
微生物資材を調べていると、「バイオスティミュラント」という言葉を見かけることがあります。
どちらも土づくりや作物の生育を支える資材として紹介されることがありますが、同じ意味の言葉ではありません。
微生物資材は、土壌中の微生物、有機物の分解、根まわりの環境づくりなどに着目した資材です。
一方、バイオスティミュラントは、乾燥、高温、低温などの環境ストレスへの対応や、植物が本来持っている力を支える文脈で語られることが多い分野です。
微生物資材の中にも、バイオスティミュラントに近い文脈で紹介されるものがあります。
細かい分類だけで判断するよりも、「土の中の微生物環境を整えたいのか」「作物の生育ストレスを支えたいのか」といった目的から考えると選びやすくなります。
まとめ
微生物資材は、土壌微生物や有機物の分解、根まわりの環境づくりに着目した土づくり資材です。
ただし、すべての商品が同じ目的で使えるわけではありません。
今回紹介した5商品は、それぞれ次のように役割が異なります。
| 商品名 | おすすめの使い方 |
| ワームキャスティング | 多様な土壌微生物を活かし、根まわりの環境づくりを考えたいとき |
| 菌力アップ | 好気性微生物を活かして土壌環境を見直したいとき |
| カルスNC-R | 作物残さを分解し、次の土づくりにつなげたいとき |
| バイオ21 | 完熟堆肥づくりや有機物の発酵・分解を進めたいとき |
| コフナ1号 | 太陽熱消毒後の土づくりや長期的な土壌改良を考えたいとき |
微生物資材を選ぶときは、まず「土の中で何を進めたいのか」を決めることが大切です。
多様な土壌微生物を活かしたいのか、土壌環境を見直したいのか、有機物を分解したいのか、堆肥を作りたいのか、高温環境を活かした土づくりまで考えたいのかによって、選ぶべき資材は変わります。
使用前には、商品ラベルや公式情報を確認し、土壌診断や栽培管理とあわせて、自分の畑に合う微生物資材を選びましょう。
この記事で紹介した「ワームキャスティング」については以下からお問い合わせください。
お電話:0120-343-255
メール:https://agri-switch.com/contact/
監修者
人見 翔太 Hitomi Shota

滋賀大学教育学部環境教育課程で、環境に配慮した栽培学等を学んだ後、東京消防庁へ入庁。その後、株式会社リクルートライフスタイルで広告営業、肥料販売小売店で肥料、米穀の販売に従事。これまで1,000回以上の肥料設計の経験を活かし、滋賀県の「しがの農業経営支援アドバイザー」として各地での講師活動を行う。現在は株式会社リンクにて営農事業を統括している。生産現場に密着した、時代にあった実践的なノウハウを提供致します。
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