
トマトの果実の先端が褐色になり、黒く陥没している場合は、尻腐れが疑われます。
尻腐れは、病原菌によって起こる病気ではありません。肥大中の果実にカルシウムが十分届かなくなることで生じる生理障害です。
ただし、尻腐れが発生したからといって、すぐに石灰やカルシウム資材を追加すればよいとは限りません。土壌や培養液にカルシウムが含まれていても、水切れや根傷み、高温、高ECなどによって吸水が妨げられると、果実までカルシウムを運べなくなるためです。
発生した果実は回復しません。状態に応じて摘除し、次の果房に症状を広げないための管理へ切り替えます。
この記事では、トマトの尻腐れが発生したときに確認したい項目を、実際の点検順に沿って解説します。
トマトの尻腐れは病気ではなく、果実へのカルシウム供給不足による生理障害
まずは、果実に現れている症状が尻腐れに当てはまるかを確認します。尻腐れは病害ではありませんが、障害部分にカビや細菌が侵入すると、見た目だけでは病害と区別しにくくなることがあります。
果実のお尻が褐色になり、進行すると黒く陥没する
トマトの尻腐れは、花が付いていた側にあたる「花落ち部」に症状が現れます。
初期には、未熟果の花落ち部に水が染みたような淡褐色の斑点が生じます。進行すると範囲が広がり、褐色から黒色へと変化します。表面はくぼみ、革のような状態になります。
障害部分にカビや細菌が二次的に侵入すると、軟らかく腐敗することもあります。ただし、尻腐れ自体は病原菌による病害ではないため、株から株へ感染するものではありません。
花落ち部以外にも変色や斑点が広がっている場合や、葉や茎にも異常が見られる場合は、炭疽病、疫病、灰色かび病、日焼け果など、別の障害も考えられます。果実だけで判断せず、株全体の状態も見てください。
発生した果実は回復しないため、早めに摘除する
一度、尻腐れが発生した部分は元に戻りません。カルシウム資材を散布しても、黒くなった部分が回復することはありません。
商品果としての出荷が難しく、傷んだ部分からカビや細菌が侵入する可能性もあるため、圃場の選果基準や株の状態に応じて摘除します。
摘除する前に、発生日、果房、果実の大きさ、同じ果房での発生果数を記録しておきましょう。発生前の天候やかん水量、給液・排液EC、直前に行った施肥や管理変更も残しておくと、原因を振り返りやすくなります。
尻腐れの症状が見えた時点では、原因となった水分ストレスや高温が数日前に起きている場合があります。発生当日の管理だけでなく、過去の記録まで遡って確認します。
土壌中にカルシウムがあっても尻腐れは起こる
尻腐れは、果実内でカルシウムが局所的に不足することで発生します。ただし、必ずしも土壌全体のカルシウムが不足しているとは限りません。
カルシウムは、根から吸収された水とともに、主に木部を通って植物体内を移動します。葉は蒸散量が多いためカルシウムが運ばれやすい一方、果実は蒸散量が少なく、カルシウムが届きにくい器官です。
水切れや高ECによって根からの吸水が低下したり、高温や強日射によって葉への水分移動が増えたりすると、肥大中の果実への供給が不足しやすくなります。培養液中にカルシウムが含まれていても、水分ストレスによって吸収や果実への移行が妨げられれば、尻腐れは発生します。
尻腐れを見つけたときは、石灰やカルシウム資材を追加する前に、カルシウムを運ぶための「水の流れ」が保たれているかを確認します。
尻腐れが出たら、カルシウムを足す前に吸水を妨げる原因を確認する

尻腐れには、水分、根、温度、肥料、草勢など、複数の条件が関係します。現場では一つの原因だけでなく、いくつかの条件が重なっていることも少なくありません。
発生したときは、次の順番で原因を切り分けます。
- 果実肥大期に水切れがなかったか
- 根域の水分が大きく変動していないか
- 排水不良や根傷みがないか
- 高温や強日射による水分ストレスがなかったか
- 土壌や培養液のECが高くなっていないか
- 窒素、カリウム、マグネシウムなどを過剰に施用していないか
- 土壌や培養液中のカルシウムが不足していないか
カルシウム不足の確認も必要ですが、初めからカルシウムだけに原因を絞らないことが大切です。
最初に、果実肥大期の水切れと根域の乾湿差を確認する
最初に確認したいのは、着果後から果実肥大初期にかけての水分管理です。
果実が急速に肥大する時期は、細胞の形成に多くのカルシウムを必要とします。この時期に根域が乾燥すると、根から果実へ向かう水とカルシウムの供給が途切れ、尻腐れが発生しやすくなります。特に、若い果実ほど影響を受けやすいとされています。
晴天日の午後に株がしおれていた場合は、日中の水切れを疑います。朝夕にまとめてかん水している圃場では、日中だけ根域が乾いていないかを確認してください。
晴天日と曇天日でかん水設定が同じ場合や、雨のあとにかん水の再開が遅れた場合も、必要な時間帯に水が不足することがあります。点滴チューブやドリッパーの詰まり、畝の中央部と端部の水分差にも注意が必要です。
土の表面が濡れていても、根のある深さまで水が届いているとは限りません。表面の状態だけで判断せず、根域の水分を確認します。
対策では、一度に大量の水を与えるより、根域の水分を急変させないことを優先します。急激にかん水量を増やすと、裂果や根傷みを招く可能性があります。土壌水分や日射量を見ながら、かん水回数と1回量を段階的に調整します。
排水不良や高い根域温度による根傷みがないか確認する
カルシウムの吸収を妨げるのは、水不足だけではありません。過湿によって根が傷んでいる場合も、水やカルシウムを吸収しにくくなります。
露地栽培では、長雨後や圃場内の低い場所に水がたまっていないかを見ます。施設栽培では過剰かん水や排水不良、養液栽培では培地内の滞水や排液の停滞がないかを確認してください。
根が褐変している、ぬめりや腐敗臭がある場合は、根傷みが疑われます。中耕、除草、定植作業などで根を傷めていないかも振り返ります。
高温期の施設栽培や養液栽培では、培地や培養液の温度が上昇し、根の活性が落ちることがあります。地上部だけでなく、根域温度、液温、排液の状態まで見る必要があります。
尻腐れが発生したからといって、かん水量を一律に増やすのは避けましょう。乾燥しているのか、過湿で根が吸えなくなっているのかを見分けたうえで調整します。
高温・強日射・過繁茂で果実へのカルシウム供給が追いついているか確認する
高温や強日射の条件では葉からの蒸散量が増え、植物体が水分ストレスを受けやすくなります。同時に果実の肥大速度も上がるため、必要なカルシウム量に供給が追いつかなくなることがあります。
葉が過度に茂っている株では、葉への水分やカルシウムの移動が多くなり、果実へ届きにくくなる可能性があります。ただし、急激な摘葉は果実の日焼けや樹勢低下につながります。尻腐れが出たからといって、一度に多くの葉を落とすのは適切ではありません。
施設栽培では、日中の気温と湿度、日射量、飽差、換気や遮光を始める時刻を確認します。細霧冷房や加湿設備を使用している場合は、稼働状況も見直してください。
日射が上昇しているのに、かん水開始が遅れていないかも重要です。葉面積や茎の太さなど、株の樹勢とあわせて判断します。
施設内の湿度は、単に低くすればよいわけではありません。植物が安定して吸水できる範囲に保ちます。
遮光も、強くすれば必ず改善するとは限りません。光量が減ると、光合成や樹勢、収量に影響することがあります。気温、日射量、株の状態を見ながら調整します。
高ECや窒素・カリウム・マグネシウムの過剰がないか確認する
土壌や培養液のECが高くなると、根の周囲に水があっても植物が吸水しにくくなります。
高糖度栽培などで水分や塩類ストレスをかけている場合は、特に注意が必要です。果実が急速に肥大する時期に高い塩類ストレスを与えると、吸水量が低下し、尻腐れの発生を助長する可能性があります。
窒素を過剰に施用すると茎葉の生育が強くなり、果実との間で水分やカルシウムの競合が起こりやすくなります。カリウム、マグネシウム、ナトリウム、アンモニア態窒素などの濃度が高い場合も、カルシウムの吸収を妨げる要因になります。
基肥と追肥の施用量、直近の追肥時期、使用した窒素肥料の種類を振り返りましょう。土耕栽培では土壌EC、養液栽培では給液ECと排液ECを確認します。原水のECや成分、カリウム・マグネシウム資材の施用履歴も判断材料になります。
葉色が濃い、茎が太い、節間が長いなど、樹勢が強すぎる兆候がないかも見てください。
ECが高い場合は、原因となる肥料成分や塩類の蓄積状況を確認し、かん水や給液濃度を調整します。原因を確認しないまま液体肥料や硝酸カルシウムなどを追加すると、ECや窒素濃度がさらに上がり、かえって吸水を妨げる場合があります。
栽培方式によって確認する項目は異なる
尻腐れが起こる基本的な仕組みは共通しています。ただし、土壌や根域を直接管理する土耕栽培と、給液によって根域環境を制御する養液栽培とでは、優先して見る場所が異なります。
まずは、栽培方式ごとの確認項目を整理しておきましょう。
| 栽培方式 | 優先して確認する項目 | 特に注意したい状態 |
| 露地・土耕栽培 | 根域の土壌水分、排水、土壌pH、交換性カルシウム、施肥履歴 | 表面だけが濡れている、長雨後も根域が過湿、石灰や肥料の重ねがけ |
| 施設栽培 | 日射、かん水開始時刻、遮光、温湿度、根域温度 | 曇天後の急な晴天、高温と低湿度の重なり、遮光の遅れやかけすぎ |
| 養液栽培 | 給液・排液EC、排液率、給液時刻、培地水分、液温 | 培地内の塩類蓄積、給液の遅れ、排液不良、ドリッパーの吐出差 |
露地・土耕栽培では土壌水分、排水、pH、施肥履歴を確認する
露地・土耕栽培では、根が分布している深さの土壌水分を確認します。
土の表面が湿っていても、その下の根域が乾燥していることがあります。反対に、表面が乾いていても、粘土質土壌や排水不良圃場では根域が過湿になっている場合があります。
根域まで水が浸透しているか、畝や圃場内に乾湿差がないかを見ましょう。長雨後に水が停滞している場合は、耕盤や土壌の締まりも疑います。
施肥面では、土壌pH、交換性カルシウム、EC、塩基バランスを確認します。石灰、苦土、カリウム資材を過去にどれだけ施用したかも判断材料になります。
土壌診断を行わずに石灰を追加すると、pHの上昇や塩基バランスの乱れを招く可能性があります。土壌pH、交換性カルシウム、土質、これまでの施肥履歴を確認したうえで判断します。
施設栽培では日射、遮光、かん水量、根域温度を確認する
施設栽培では、日射や施設内環境の変化に、かん水設定が追いついているかを見ます。
曇天が続いたあとに急に晴れた日は、根域の水分が不足しやすくなります。症状が出てからかん水量を増やすのではなく、日射量の上昇に合わせ、植物が水分ストレスを受ける前に給水します。
積算日射量とかん水量の関係、かん水を始める時刻、晴天日の午後の根域水分を確認してください。株ごとにかん水量のばらつきがある場合は、設備側の問題も疑います。
遮光については、開始が遅れていないかだけでなく、遮光しすぎて樹勢が低下していないかも見ます。ハウス内の高温と低湿度、培地温度や地温もあわせて確認します。
日射、温度、湿度、土壌水分を同じ時間軸で記録すると、尻腐れが発生した条件を特定しやすくなります。
養液栽培では給液・排液EC、排液率、給液時刻、液温を確認する
養液栽培では、設定した給液濃度だけでなく、実際の根域で何が起きているかを確認します。
最初に測定したいのは、原水、給液、排液それぞれのECです。排液ECが給液ECより大きく上昇している場合は、培地内に肥料成分が蓄積し、根が水を吸いにくくなっている可能性があります。
排液量と排液率、給液の開始・終了時刻、1回当たりの給液量と回数も確認します。培地の含水率や液温、ドリッパーごとの吐出量に差がないかも見てください。
カルシウムを含む原液については、調製や混入に問題がないか、沈殿が生じていないかを確認します。
適切なECや排液率は、品種、作型、培地、天候、栽培システムによって異なります。一定の数値だけを目標にせず、給液・排液と樹体反応をあわせて判断します。
カルシウム資材は、不足や補給の必要性を確認してから使う

水分管理、根域環境、EC、肥料バランスを点検したうえで、カルシウムが不足している、または補給が必要だと判断した場合は、カルシウム資材の使用を検討します。
カルシウム資材は、すでに尻腐れが発生した果実を回復させるものではありません。これから肥大する果実での発生を抑えるための、補助的な対策として位置づけます。
土壌施用は交換性カルシウムと土壌pHを確認してから行う
土壌へ石灰資材を施用する前に、交換性カルシウムと土壌pHを確認します。
カルシウムに関係する生理障害には、土壌中のカルシウムそのものが不足している場合のほか、低pHなど別の土壌条件が生育障害を引き起こしている場合があります。
土壌中のカルシウムが足りていても、根から吸収できない、または症状が出る部位まで十分に運ばれていなければ、尻腐れは発生します。低pHとカルシウム不足は同じものではないため、分けて判断します。
交換性カルシウムと土壌pHがともに低い場合は、石灰資材によるカルシウム補給とpH矯正を検討します。一方、交換性カルシウムやpHが適正であれば、石灰を追加しても尻腐れの原因を解決できない可能性があります。
使用する資材と施用量は、土壌分析値、土質、これまでの施肥履歴、地域の施肥基準をもとに判断します。
石灰資材を過剰に施用すると、土壌pHが上がりすぎ、ホウ素、亜鉛、マンガンなどの微量要素が作物に吸収されにくくなる場合があります。尻腐れが出たという理由だけで毎年追加せず、土壌診断値を確認してから施用します。
また、石灰資材は土壌へ混和してから効果が現れるまで時間がかかります。尻腐れが出てから行う緊急対策ではなく、次作に向けた土づくりとして考えます。
カルシウム散布は、根域と肥培管理を整えたうえで補助的に行う
カルシウムを葉へ散布しても、葉に取り込まれたカルシウムが果実へ十分に再移動するとは限りません。カルシウムは葉から果実へ移りにくいため、一般的な葉面散布だけで尻腐れを解決しようとするのは適切ではありません。
カルシウム剤の葉面散布については、さまざまな試験が行われていますが、劇的な効果が得られない場合もあります。
一方、特定の養液栽培や高糖度栽培では、開花後の花房や幼果へカルシウム剤を直接散布することで、尻腐れの発生を抑えた試験例があります。ただし、特定の品種、作型、資材、濃度で得られた結果であり、すべての栽培条件にそのまま当てはめられるものではありません。
散布を検討する前に、根域の水分、根傷み、排水、高EC、過剰施肥、高温・強日射への対策を進めます。カルシウム散布は、これらの管理に代わるものではありません。
資材の種類だけでなく、散布部位・時期・濃度を確認する
カルシウム資材を選ぶ際は、含まれるカルシウムの量だけでなく、使用できる作物、散布方法、希釈倍率、使用時期まで確認します。
葉面や果実へ散布する資材では、濃度や気温によって葉焼け、果実の汚れ、薬害が生じる可能性があります。高温時の散布は避け、初めて使用する場合は、一部の株で試してから圃場全体へ広げます。
ほかの肥料や農薬と混用する場合は、沈殿や薬害が生じないか、製品の注意事項と混用可否を確認してください。
カルシウムを含む液体資材の候補として、アグリスイッチでは「セルマックス」を取り扱っています。
セルマックスは、カルシウムイオンと水溶性ケイ酸を配合し、葉面散布と土壌散布に対応する液体資材です。既発生果を治療するものではなく、根域管理や肥培管理を整えたうえで、カルシウム補給や高温期の栽培管理を補助する目的で検討します。
トマトを含む果菜類での使用量や希釈倍率は、栽培方式や散布方法によって異なります。使用前に製品表示を確認し、不明な場合はアグリスイッチへ相談してください。
次の果房で尻腐れを増やさないための管理

尻腐れが発生した果実を元に戻すことはできません。対策の目的は、発生時の管理を振り返り、これから肥大する果実で同じ条件を繰り返さないことです。
水分、温度、EC、樹勢の変化を記録しながら、次の果房の発生状況を見て管理を調整します。
根域の水分を急変させない
次の果房での発生を防ぐには、根域を極端に乾燥させたり、乾燥後に一度に大量の水を与えたりしないことが基本です。
土壌水分計や培地水分センサーがある場合は、毎日の最大値と最小値を記録します。センサーがない場合も、根域の土や培地を定期的に確認し、晴天日の午後に乾きすぎていないかを見ます。
点滴かん水では、ドリッパーの詰まりや吐出量のばらつきも定期的に点検します。株ごとの発生差が大きい場合は、品種や樹勢だけでなく、かん水設備の不均一も疑います。
高温・強日射時はかん水回数や遮光を調整する
高温・強日射が予想される日は、植物がしおれてから対応するのではなく、日射量の上昇に合わせて早めにかん水を開始します。
施設栽培では、換気、遮光、細霧冷房などを組み合わせ、葉温と根域温度の上昇を抑えます。ただし、遮光を強くしすぎると光合成が低下し、樹勢や収量に影響します。日射量や時刻に応じた調整が必要です。
かん水量を増やす場合も、1回量だけを大きくするのではなく、回数を増やして根域水分の変動を小さくする方法を検討します。
ECと樹勢を記録し、過剰施肥を防ぐ
尻腐れが出た圃場では、肥料を追加する前にECと樹勢を確認します。
施設・養液栽培では給液ECと排液EC、土耕栽培では土壌ECを定期的に測定します。葉色、茎径、節間長、葉の大きさなども記録すると、窒素過剰や樹勢の変化を判断しやすくなります。
尻腐れをカルシウム不足と判断して硝酸カルシウムなどを追加する場合は、窒素とECも同時に上がることに注意が必要です。
必要な成分を補うことと、肥料濃度を高くすることは同じではありません。土壌や培養液の分析値をもとに、肥料全体のバランスを調整します。
発生果率と管理変更を記録して原因を絞り込む
尻腐れ対策の効果を判断するには、発生果の有無だけでなく、発生率を記録します。
尻腐れ発生果率=尻腐れ果数÷調査した全果実数×100
果房ごとの発生果率に加えて、開花日、着果日、天候、かん水量、EC、追肥、遮光などの管理変更を記録します。
複数の対策を同時に変更すると、どの管理が有効だったのか判断できません。緊急性の高い水切れや根傷みはすぐに改善し、それ以外は可能な範囲で一つずつ変更します。そのうえで、次の果房の発生率を比較します。
記録を続けることで、自分の圃場で尻腐れが発生しやすい日射量、気温、EC、かん水条件を把握しやすくなります。
まとめ|尻腐れ対策はカルシウム施用より先に吸水阻害の原因を取り除く
トマトの尻腐れは、果実へのカルシウム供給が不足することで発生する生理障害です。
土壌や培養液にカルシウムがあっても、水切れ、過湿による根傷み、高温、強日射、高EC、肥料過多などによって吸水やカルシウムの移動が妨げられると、尻腐れは発生します。
発生したときは、次の順番で対応します。
- 尻腐れかどうか症状を確認する
- 発生果を摘除し、果房や発生日を記録する
- 果実肥大期の水切れと根域の乾湿差を確認する
- 排水不良、根傷み、根域温度を確認する
- 高温、強日射、かん水設定を確認する
- ECと窒素、カリウム、マグネシウムの施用量を確認する
- 土壌診断で交換性カルシウムと土壌pHを確認する
- 必要に応じてカルシウム資材を補助的に使用する
すでに尻腐れが発生した果実は回復しません。石灰やカルシウム資材をすぐに追加するのではなく、まずは根が水を吸い、果実までカルシウムを運べる環境を整えます。それが、次の果房での発生を抑える基本です。
監修者
人見 翔太 Hitomi Shota

滋賀大学教育学部環境教育課程で、環境に配慮した栽培学等を学んだ後、東京消防庁へ入庁。その後、株式会社リクルートライフスタイルで広告営業、肥料販売小売店で肥料、米穀の販売に従事。これまで1,000回以上の肥料設計の経験を活かし、滋賀県の「しがの農業経営支援アドバイザー」として各地での講師活動を行う。現在は株式会社リンクにて営農事業を統括している。生産現場に密着した、時代にあった実践的なノウハウを提供致します。




