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水稲の食味を向上させる肥料とは?おすすめ資材と施肥管理のコツを徹底解説

「おいしいお米を作りたい」──この思いは、すべての稲作農家に共通する願いではないでしょうか。しかし実際には、収量を重視するあまり味が落ちてしまったり、肥料の設計に悩んだりと、思うように“食味”が上がらないという声も多く聞かれます。

近年、消費者のニーズは「ふっくら・つややか・冷めても美味しい米」へと移行しており、食味値の高い米はブランド化や販路拡大にも直結する重要な武器になっています。とくに、直販やふるさと納税での販売を意識する農家にとって、他と差別化できる“味”の良さは価格競争に巻き込まれない最大の強みとなり得るのです。

そこで注目されているのが、肥料の選び方と与え方の見直し。窒素の制御はもちろん、登熟期のカリウム・マグネシウムの補給、葉面散布による微量要素の追加など、科学的なアプローチで食味を改善する動きが広がっています。また、実際に現場で導入されている「ミラクルナイン」「ケルプカープ」「セルマックス」などの資材も、効果が実感できると評価を集めています。

本記事では、水稲の食味向上に向けた肥料の基礎知識から、実際に使われている資材の紹介、収量とのバランスをとる施肥戦略まで、現場で使える実践情報を農家目線でわかりやすくお届けします。来季こそ“味で勝つ米づくり”を目指したい方は、ぜひ最後までご覧ください。

食味の良い米とは?評価基準と消費者ニーズ

「おいしい米」とは何か。食味の評価にはいくつかの客観的な基準があります。代表的なのが「食味値」と呼ばれる指標で、これは主にアミロース含量、タンパク質含量、脂肪酸度などの成分をもとに数値化されます。

たとえば、アミロースが多いとパサつきやすく、少ないと粘りが強くなる傾向があります。タンパク質が高すぎると炊きあがりが硬くなり、風味も落ちるとされます。

一方で、消費者のニーズは年々多様化しており、「ふっくらして甘みのある米」「冷めてもおいしい米」など、用途や好みによって求められる食味も変化しています。特に直販やブランド米で差別化を図るには、こうした消費者の嗜好に合った食味を実現する肥培管理が求められます。

食味値とは?アミロース・タンパク含量の影響

食味値とは、米の「味のおいしさ」を数値で示したもので、機器による分析で算出されます。主な構成要素は、アミロース・タンパク質・水分・脂肪酸度などです。中でもアミロースとタンパク質の割合は、米の食感や味に大きく影響します。

アミロース含量が高いとご飯は硬くパサつきやすくなり、低いと粘りが強くもちもちとした食感になります。また、タンパク質が多すぎるとご飯が固くなり、炊きあがりが黄色っぽくなるため、食味を下げる要因になります。そのため、食味の良い米を育てるには、適度なアミロース値とタンパク質を抑える施肥設計が重要です。

市場で好まれる米の特徴とトレンド

現在の市場では、「粘りがあり、ふっくら炊き上がる米」が高く評価されています。とくに家庭用や外食産業では、冷めても美味しいことや、見た目の白さ、ツヤのある炊き上がりも重視されます。また、甘みの強い米はお弁当やおにぎりに人気で、価格競争の中でも差別化の材料になります。

最近では、「特別栽培米」や「低農薬・有機米」など、栽培方法にこだわった米の需要も増加傾向にあります。味と安全性の両方を求める消費者が多く、地域ブランド米やプレミアム米として高価格帯で販売される例も多く見られます。こうしたニーズに応えるには、見た目・食感・味を高いレベルで整える肥料の選定と施肥管理がカギとなります。

水稲の食味に影響を与える主な栄養要素

水稲の食味は、栄養素のバランスによって大きく左右されます。中でも肥料成分の与え方ひとつで、アミロースやタンパク質の含有量が変化し、食味値に直接影響を及ぼします。

ここでは食味に関連性が高い主要な栄養素を中心に、それぞれの特徴と役割について解説します。

窒素(N)|与えすぎは食味低下の原因に

窒素は稲の生育に欠かせない基本要素ですが、過剰になるとタンパク質含量が増加し、食味が落ちる原因となります。とくに登熟期に窒素が多すぎると、粒張りが悪くなり、見た目も悪化します。

適切な窒素管理が、美味しい米を作るための第一歩です。追肥や中干し後の施肥では、収量だけでなく食味を意識した量に調整することが大切です。

カリウム(K)|稲の代謝を整えて食味向上

カリウムは稲の体内での糖やデンプンの移行を助け、登熟を促す重要な栄養素です。適切に供給されることで粒張りの良い米ができ、甘みや粘りの向上にも寄与します。

カリウムが不足すると、葉が黄化しやすく、光合成能力が低下してしまうため、追肥や葉面散布で補うのも有効です。とくに生育後半に意識的に投入することで、食味向上に効果を発揮します。

ケイ酸(Si)|登熟促進と食味安定に効果

ケイ酸は細胞壁を強化し、病害虫や倒伏への耐性を高めるだけでなく、光合成を助けることで登熟を安定させ、結果的に食味向上につながります。ケイ酸をしっかり施用しているほ場では、米粒の揃いが良く、炊きあがりの見た目や味にも差が出ます。登熟期までしっかりと効かせるためには、基肥や追肥だけでなく、土壌改良材としての継続的な投入が望ましいです。

マグネシウム・微量要素の役割とは?

マグネシウムは葉緑素の構成成分で、光合成の促進に欠かせない要素です。また、ホウ素やマンガンなどの微量要素は、酵素の働きを助ける役割があり、健康な稲体づくりとデンプン合成に貢献します。

これらが不足すると、生育不良や登熟遅れを引き起こし、食味にも悪影響を与えることがあります。バランスの取れた土づくりと資材選定が、見えにくい微量要素の管理において重要となります。

食味向上に効果的な肥料の種類と使い方

水稲の味を良くするには、栄養素だけでなく「どんな肥料を、いつ、どう使うか」が大きく関わってきます。従来の施肥体系に加え、食味に特化した専用肥料や葉面散布資材の活用が注目されています。

ここでは、一般的な施肥と専用肥料の違い、そして実践的な使い方について解説します。

慣行肥料と専用肥料の違い

慣行肥料は主に収量確保を目的に設計されており、窒素・リン酸・カリウムのバランス型や遅効性肥料が多く用いられています。一方、食味向上を狙った専用肥料は、タンパク質の抑制や登熟促進に特化した設計が特徴です。

たとえば、窒素量を抑えつつカリやケイ酸、マグネシウムなどの成分を強化することで、味と品質の向上を同時に実現します。

食味専用肥料の成分と効果

食味専用肥料には、低タンパク米を目指すための「低窒素・高カリ」設計や、登熟促進に役立つケイ酸や微量要素が含まれていることが多くあります。こうした成分は、粒張りや粘り、炊きあがりの光沢などに良い影響を与えます。

特に、収穫前30〜45日間の登熟期に的確な成分を与えることが、米の食味を大きく左右するポイントです。

葉面散布による追肥のタイミングと注意点

葉面散布は、成分を葉から直接吸収させることで、短期間で効果を発揮できる施肥方法です。食味向上を狙う場面では、出穂前〜登熟初期にカリウムやマグネシウム、アミノ酸を含んだ液肥を葉面から与えることで、米の味に直結する栄養補給が可能となります。

ただし、気温や湿度が高い時期には薬害や吸収効率の低下に注意が必要です。早朝や夕方の散布が効果的とされています。

実際に使われているおすすめの肥料例

水稲の食味向上を目指すうえで、どの肥料を選ぶかは非常に重要です。近年では、アミノ酸や微量要素、海藻エキスなどを含んだ液肥や葉面散布資材が注目されており、特定の資材を組み合わせることで、味・香り・粘りの向上が期待できます。

ここでは、アグリスイッチが提供する実際に使用されている資材の中から、食味改善に役立つおすすめの製品をご紹介します。

ミラクルナイン|硝酸態窒素の同化を促進し、品質アップ

「ミラクルナイン」は、硝酸態窒素を効率的にアミノ酸へと変換させる特殊な成分を含んだ葉面散布肥料です。高温期でも光合成と同化作用を助け、登熟中の栄養転流を促進します。

水稲では登熟期の栄養供給が食味に直結するため、ミラクルナインの使用により米の品質と味の向上が期待できます。特に光合成力の落ちやすい真夏の管理に効果的です。

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ケルプカープ|魚由来アミノ酸で食味と根張りをサポート

「ケルプカープ」は、魚由来の動物性アミノ酸やDHA・EPAなどの脂肪酸、海藻由来ミネラルを含む高機能液肥です。植物のうま味成分ともいえるアミノ酸の補給により、米の味・香り・ツヤを高める効果があります。

さらに、土壌中の微生物活性も高まり、根張りが良くなることで吸収効率が向上。収穫までの健全な生育を支える万能タイプの肥料です。

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セルマックス|ケイ素+カルシウムで登熟・細胞壁強化に貢献

「セルマックス」は、高吸収型のケイ酸とカルシウムをマイクロカプセル化した資材で、他のイオンとの結合を抑えて効率よく吸収されます。

細胞壁を強化し、登熟期のストレスを軽減することで、米粒の充実度を高め、食味のばらつきを抑える効果があります。病害や倒伏にも強くなるため、品質と収穫安定の両立を図るうえでも有効な資材です。

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食味向上のための肥培管理のポイント

米の味を良くするには、肥料の種類だけでなく「いつ・どのように与えるか」といった肥培管理の工夫も欠かせません。施肥のタイミングや量、バランスを間違えると、せっかくの良質な肥料も効果を発揮できません。

ここでは、食味向上に向けた肥培設計の基本と、実践で意識すべき管理ポイントを解説します。

元肥・追肥のバランス設計

食味を意識した施肥では、「元肥で与えすぎないこと」が第一条件です。窒素過多はタンパク質含量を上昇させ、食味を低下させるため、基肥では控えめに設定し、必要に応じて生育後半に調整を加えるのが基本です。

追肥では、登熟期に向けてカリウムやマグネシウム、ケイ酸を適切に補給することで、粒張りの良い食味米へとつながります。

登熟期の管理がカギ

米の味は、出穂後から登熟期にかけての管理に大きく左右されます。この時期に稲が光合成を活発に行い、養分をしっかりと籾に蓄えることで、デンプン量が増え、甘みやツヤのある米になります。

高温障害や水分ストレスが起きないように注意し、適切な水管理や葉面散布を組み合わせて、栄養転流を助ける環境を整えることが重要です。

土壌分析と施肥設計の連動

施肥設計においては、感覚や慣習だけに頼らず「土壌診断」に基づいた計画が効果的です。とくに微量要素やpHのズレは食味に間接的な影響を与えることがあるため、事前に分析しておくことで無駄のない施肥が可能になります。

分析結果をもとに、有機物や改良材、資材の追加を行い、作物にとって最適な土壌環境をつくることが、高品質米の安定生産につながります。

食味向上と収量の両立は可能か?

「味の良い米を作りたいけど、収量が減るのは困る」──これは多くの生産者が抱える悩みです。実際、タンパク質を抑える施肥設計を意識すると、過度な収量確保が難しくなる場面もあります。

しかし、適切な資材選定と管理を行えば、食味と収量を両立させることは十分可能です。ここでは、そのバランスをとるためのポイントを紹介します。

高品質・高収量の栽培実例

実際の現場では、窒素の施用を計画的に制御しながらも、後半にカリウムやマグネシウムを補うことで、食味を保ちながらしっかりとした収量を確保している農家も存在します。

たとえば、ケイ酸やアミノ酸資材をうまく活用し、登熟をスムーズに進めることで粒張りと充実度が向上し、「味と量」のどちらにも妥協しない結果を出している例が報告されています。

食味と収量のトレードオフを避けるコツ

両立を目指すうえで大切なのは、「前半で攻めすぎず、後半で仕上げる」施肥戦略です。具体的には、基肥では生育の土台づくりを意識し、追肥や葉面散布で必要な成分を的確に補う方法が有効です。

また、天候や土壌条件に応じて施肥量を微調整する柔軟さも不可欠。過去のデータや土壌分析をもとにしたPDCA管理を取り入れることで、トレードオフを最小限に抑えた栽培が実現できます。

まとめ|米の価値を高める施肥戦略で差をつけよう

水稲の食味を向上させるためには、単に「肥料を与える」だけではなく、栄養素のバランス、与えるタイミング、肥料の種類まで含めた総合的な施肥戦略が求められます。特に近年では、消費者の「味」に対する関心が高まっており、良食味米はブランド価値の向上や販路拡大にもつながる重要な要素です。

本記事で紹介したように、窒素を抑えつつカリウム・ケイ酸・マグネシウムを活用し、登熟期の栄養転流を支えることで、米の甘みや粘り、ツヤを引き出すことができます。さらに、ミラクルナインやケルプカープ、セルマックスといった先進的な資材を取り入れることで、食味と収量の両立も可能になります。

日々の管理に手間はかかりますが、食味向上は“米の価値”そのものを高める投資です。他の農家と差をつけるためにも、施肥設計を見直し、科学的な管理で次の収穫を成功に導きましょう。

監修者

人見 翔太 Hitomi Shota

滋賀大学教育学部環境教育課程で、環境に配慮した栽培学等を学んだ後、東京消防庁へ入庁。その後、株式会社リクルートライフスタイルで広告営業、肥料販売小売店で肥料、米穀の販売に従事。これまで1,000回以上の肥料設計の経験を活かし、滋賀県の「しがの農業経営支援アドバイザー」として各地での講師活動を行う。現在は株式会社リンクにて営農事業を統括している。生産現場に密着した、時代にあった実践的なノウハウを提供致します。

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