
化成肥料は、速効性があり使いやすい一方で、正しい使い方を知らないと土づくりや作物の生育に悪影響を与えることもあります。
「どのタイミングで施肥すればいい?」「どれくらいの量を使えばいい?」と悩んでいる農家さんも多いのではないでしょうか。
この記事では、農家さん向けに、化成肥料の特徴や種類、正しい使い方、メリット・デメリットまでわかりやすくまとめました。
これから化成肥料を上手に使って収量アップ・品質向上を目指したい方は、ぜひ最後までご覧ください!
化成肥料とは?
化成肥料は、窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)など、作物の成長に必要な成分をバランスよく配合した肥料です。
たとえば、春にキャベツを植えるときや、イチゴの株を太らせたいときに、早めに効かせたい場面でよく使われています。
人工的に作られているため、成分にムラがなく、どの畑でも均一に効果を発揮するのが魅力です。
肥料の主な種類や分け方
肥料は「有機肥料」と「化学肥料」に大きく分かれます。
・有機肥料:鶏ふん、牛ふん、魚粉など天然素材が原料。
・化学肥料:化学的に成分を精製・合成したもの。
さらに、
・単肥:一つの栄養成分だけ(例:尿素→窒素のみ)
・複合肥料:複数の栄養素がセット(例:化成肥料)
という分け方もあります。
作物に合わせて、組み合わせながら使うのがコツです!
有機肥料と化学肥料の違い
たとえば、堆肥(たいひ)は土をふかふかにする力が強く、長期的に土づくりに向いています。一方、化学肥料は早く効くため、今すぐ作物を大きく育てたいときに向いています。
両方をうまく使い分けると、畑の力を底上げできます。
単肥と複合肥料の違い
単肥は栄養素が一種類だけなので、作物ごとに細かく設計したいときに使います。複合肥料はこれ一つで基本の栄養素をまとめて補えるので、忙しい農家さんにも便利です。
普通化成肥料と高度化成肥料の違い
普通化成は三要素の合計が30%未満、高度化成は30%以上です。
例)
- 普通化成:14-14-14(窒素14%、リン酸14%、カリウム14%)
- 高度化成:18-18-18など
たとえば、野菜なら普通化成、収穫量を上げたい米なら高度化成を使う、といった使い分けが一般的です。
即効性があり持続性が低い「化成肥料」
化成肥料は「すぐに効く」のが特徴です。
キャベツやブロッコリーを植えた後、すぐに葉を大きく育てたいときなどに重宝します。
一方で、持続性は弱いので、成長期間が長い作物(ナス、トマト、果樹など)には追加の追肥が欠かせません。
使い方を間違えると「一時的には元気でも、後半失速する」ので注意が必要です。
化成肥料の役割と正しい使い方
化成肥料の役割
化成肥料は、作物の茎葉をぐんぐん伸ばし、花や実を付けるための栄養を素早く届けます。
例)
- レタスの葉を大きく育てたい
- イチゴの花数を増やしたい
- トウモロコシの実を大きく太らせたい
こんなときに力を発揮します。
元肥でも追肥でも使える化成肥料
化成肥料は「元肥(植え付け前)」にも「追肥(生育途中)」にも使えます。
例)
- 春植えのジャガイモに元肥として施肥
- 生育途中のナスに追肥して実の肥大を促進
元肥では「植え付け前に土とよく混ぜる」、追肥では「株元に少量ずつまく」のがポイントです。
化成肥料の特徴
化成肥料は、粒の形や成分配合が均一で、まくときにムラが出にくいのが特徴です。たとえば、粒状の肥料なら、トマト畑や稲の圃場でも均等に広がり、作物にまんべんなく栄養が行き渡ります。
また、土に混ぜやすく、施肥作業の効率も良いので、忙しい作業シーズンでも使いやすいです。ただし効果が短期間なため、作物に応じて何回か追肥する必要が出てきます。
化成肥料の使い方|基本的な使用方法や注意点
化成肥料をうまく使いこなすには、「使う量」と「使うタイミング」をしっかり管理することが重要です。具体例を交えて説明していきます!
使用するタイミング
たとえば、苗を植えた直後に化成肥料を追肥することで、しっかりと根を張らせ、生育初期を順調にスタートできます。また、トマトやナスの花が咲く直前に追加で与えると、果実の肥大や品質向上につながります。
ただし、梅雨時期や極端な乾燥時期には、根を傷めるリスクがあるので施肥タイミングを工夫しましょう。
主な施肥の方法
- 元肥(植え付け前):土とよく混ぜてなじませます(例:植え付け2週間前に全面散布して耕うん)
- 追肥(生育途中):株のまわりにリング状にまき、軽く土と混ぜます(例:トマトの株周りに追肥)
液体化成肥料(液肥)を使うと、葉面からも栄養を吸収できるため、特に果菜類には効果的です。
使用時の注意点
化成肥料は早く効く反面、根に直接触れると「肥料焼け」を起こすことがあります。たとえば苗を植えたすぐ近くに粒を置いてしまうと、根が傷んで枯れることも。
必ず施肥したあとに土を軽くかぶせる、または元肥なら数日~1週間前に施すのが安全です。
施用量を守る
肥料袋に書かれている推奨量を超えて与えると、作物が肥料過多になり、葉ばかり茂って実がつかないこともあります。
例)
トマトで窒素過多→葉ばかり茂り、実が赤くならない。
施用量は**「少なめスタート」→足りなければ追加**くらいが安全です。
施用後には土壌を撹拌する作業を行う
特に元肥のときは、肥料を土によく混ぜ込むことが重要です。
浅い表面だけに化成肥料が残ると、雨で流れてしまったり、根に強すぎる刺激を与えてしまう恐れがあります。
「施肥後は5cm〜10cmくらい耕してなじませる」これを徹底しましょう!
化成肥料のメリット・デメリット
化成肥料は非常に便利な反面、デメリットもあります。両方をきちんと理解しておくことが大切です。
化成肥料のメリット
[①栄養素がバランスよく含まれている]
例えば、ナス栽培なら、窒素・リン酸・カリウムすべてが必要です。化成肥料はそれを一度に補えるので、管理がラクになります。
[②安価で手に入る]
ホームセンターや農協ですぐ買え、10kgや20kg単位で安く手に入るため、大面積の圃場でもコストを抑えて使えます。
[③悪臭が出にくい]
堆肥のような発酵臭がないため、住宅地に近い畑でも安心して使えます。都市近郊農業にもぴったりです。
化成肥料のデメリット
[①環境に悪影響がある]
たとえば、大雨で流出すると、川や海の水質汚染の原因になります。過剰施肥は避け、環境に配慮した施肥を心がけましょう。
[②土壌環境が悪くなる]
化成肥料ばかりに頼ると、土壌中の微生物が減り、土が硬くなったり排水性が悪くなることがあります。堆肥や有機物も適度に取り入れましょう。
[③外部環境や病害虫に対する抵抗性が弱まる]
栄養を外から与えすぎると、作物の自然な抵抗力が弱くなることがあります。
例)
過剰な窒素で育ったレタスは、アブラムシ被害を受けやすい。
肥料は組み合わせて使うのがおすすめ
化成肥料と有機肥料を「いいとこ取り」する施肥設計が理想です。
たとえば、
- 元肥は完熟堆肥+ぼかし肥料で土づくり
- 追肥は化成肥料でスピードアップ
こうすると、作物は健康に育ち、土も長持ちします。「即効性」と「持続性」の両方を意識して、バランスよく施肥しましょう!
まとめ
化成肥料は、正しく使えば強力な味方ですが、使いすぎると土や環境に負担をかけてしまいます。
「適量を守る」「有機肥料とうまく組み合わせる」この2つを意識すれば、収量アップ・品質向上・土づくり、すべてが両立できます。
農家さん一人ひとりの畑に合った施肥設計を心がけ、これからも元気な作物を育てていきましょう!
監修者
人見 翔太 Hitomi Shota

滋賀大学教育学部環境教育課程で、環境に配慮した栽培学等を学んだ後、東京消防庁へ入庁。その後、株式会社リクルートライフスタイルで広告営業、肥料販売小売店で肥料、米穀の販売に従事。これまで1,000回以上の肥料設計の経験を活かし、滋賀県の「しがの農業経営支援アドバイザー」として各地での講師活動を行う。現在は株式会社リンクにて営農事業を統括している。生産現場に密着した、時代にあった実践的なノウハウを提供致します。
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